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ダイエット臭のメカニズム


投稿者名:マヤ

タイトル:ダイエット臭について教えてください



 3ヶ月前からダイエットを始めました。朝食は抜きで、昼夜もふだんの半分の食事で我慢して、5キロ減に成功しました。
 ところが、付き合っている彼から、「最近オマエくさいぞ」と言われて大ショックです。健康雑誌に五味先生の記事がありました。私はダイエット臭と関係あるのでしょうか?

 

投稿者名:五味院長

タイトル:過度なダイエットも臭いになります



 マヤさん。

 「ダイエット臭」という聞きなれない言葉は、実は私がつけた名前なのですが、実際に急激な食事制限が体臭や口臭を強くすることは事実です。朝食や昼食を抜いた時の空腹時に口や体からプーンと甘酸っぱいニオイが漂っているのを感じた経験なら誰でもあるでしょう。このような不規則な食生活から、一時的に強くなるニオイもダイエット臭と言ってよいでしょう。

 私の推測では、実際にダイエットをしている人の半数以上は、一時的にせよ「ダイエット臭」が生じている可能性があります。ただ多くの人は、ダイエットで減量することに夢中のあまり、自分の体からニオイが出ていることに気がついていないか、自分のニオイに慣れてしまい意識していないというのが現状なのです。

 あなたのケースも多分彼に指摘されるまで自分自身では分からなかったようですね。ダイエット臭というのは、ダイエットの経過の中で徐々に変化していくため自分自身で感じにくい点が特徴でもあるのです。

 それでは、なぜこのようなニオイが生ずるのでしょうか。

 結論を言えば、ダイエット臭を発散させる一番の原因は、間違ったダイエットをしているせいです。そもそもダイエットは食事の摂取カロリーを減らすとともに、運動で代謝をアップしておかないと成功しないものです。食事だけを極端に制限してやせたとしても、それは体の筋肉や水分が落ちて体重が減っただけのことも多いのです。b  それにいずれ「どうしてもこれ以上やせられない」という壁に当たります。この停滞の原因は、摂取カロリーの減少によるエネルギー不足に体が対応して基礎代謝を低下させるためです。一種の自衛作用なのです。さらに運動していないために筋肉での熱産生が低下して、代謝の速度が遅くなることも基礎代謝の低下に拍車をかけ、脂肪の燃焼効率が抑えられるのです。このような「基礎代謝の低下=やせにくい体質」になってしまったことがダイエット臭の原因となるのです。
b  ダイエット臭は、このような飢餓状態で基礎代謝が落ち、体がなんとかエネルギーを生み出そうと不完全燃焼をしている過程で生じる「副産物」とも言えるでしょう。

 ダイエット臭は、食事制限の過程に応じ、次の3段階で発生します。

第一段階
 食事制限により炭水化物やたんぱく質の摂取不足が生ずると、体はストックしておいた中性脂肪を燃やすことでエネルギーを得ようとして、中性脂肪をニオイ成分でもある「脂肪酸」に分解して、ミトコンドリアのTCA回路という燃焼系に運びます。
 ところが、急激なダイエットや運動不足で代謝が低下してこのTCA回路の回転が減速していると、脂肪酸が完全燃焼させずに、余分の脂肪酸が血中に増加してきます。
 これが汗や皮脂とともに体外に出ると、油っぽい脂質系のニオイがしてきます。しかし、このニオイは、さほど強くないため、この段階では、体臭としては気がつかれないことも多いのです。
 むしろ、ダイエットによる空腹状態が唾液の分泌を低下させ、「口臭」として感じられることが多いようです。

第二段階
 ダイエットのよる基礎代謝の低下が続くと、熱の産生が少なくなるだけでなく、体の血行が悪くなります。これは抹消組織への酸素の供給が減少することを意味します。酸素不足の状態では、体はエネルギーを完全燃焼系のTCA回路からではなく、不完全燃焼系の「解糖系」という方法でエネルギーを得ようとします。その結果の副産物として生ずるのが乳酸です。乳酸はアンモニアと一緒に汗の中に出る性質があり、汗をかいた時にアンモニアくささが強くなります。
 この段階では、「なにか汗くさいな」「ちょっとにおうかな」と体臭を気にする人も出てきます。

第三段階
 ダイエット臭の最終段階では、「甘酸っぱい」ケトン臭という典型的なニオイが発生します。
 このニオイは、血中に増加した脂肪酸が、TCA回路に入って燃焼されずに、別な径路で、ケトン体(アセトン等3種類)というニオイ物質に合成されてしまうことで生じます。ケトン体は、糖尿病の時に出る匂いと同じで、強烈なニオイ物質でもあるのです。
 このケトン体が血液の中に増加すると、まず呼気から口臭として、さらに汗の中に体臭として、さらには尿の中にも排出されて、最後は体全体からツーンとした「ダイエット臭」を発散させることになります。

 第三段階のダイエット臭は、非常に特徴的ですので本人も周囲も気がつくことが多くなりますが、問題は今まで、「ダイエット臭」というニオイの存在があまり知られていなかったために、本人が体臭に気がついても、その原因がまさかダイエットにあるとは思わずに、今までのダイエット法を「やせたいあまり」にそのまま続けてしまうことです。

 しかし、ダイエット臭がするということは、それだけでその人のダイエットの仕方が間違っているということの証明です。ダイエット臭は代謝が正常に保たれ、脂肪がTCA回路で完全燃焼しているなら生じません。なぜならTCA回路の燃焼で生ずるものは、「エネルギー」「熱」「水」「二酸化炭素」の4つしかないからです。どこにもニオイ成分はありません。

 つまり、ダイエットの過程でのニオイは、「あなたの代謝がうまくいっていませんよ」という危険信号であるのです。
 その警告を無視してダイエットを続けると、最終的には自律神経系やホルモン系が乱れて、疲労感、生理不順、めまい、しびれ、冷え、等の体の異常をもたらすのです。
 通常ダイエット臭は正しいダイエットに戻せば、比較的早期になくなるものですが、この状態になると、ダイエットを止め、体重が元に戻っても、ダイエット臭だけがずっと残ることもありますので注意が必要です。

 それでは、ダイエット臭をださないためにはどうしたらよいでしょうか?
 まず大切なことは、体の代謝をアップさせることです。ダイエット臭を出さずにダイエットを成功させるためには、常に体の代謝を高く維持しておかねばなりません。

 そのために最も効果的なものが「有酸素運動」です。20分以上の持続的運動が理想ですが、最近は「こまめに動く」だけでも効果があることが分かってきました。体をいつもきびきびと動かしているだけも代謝は高まるのです。

 また、筋肉の力を落とさないことも大切です。肝臓で産生されたケトン体は、肝臓では燃焼できないのです。唯一燃焼できるのが筋肉と脳なのです。できてしまったケトン体を消去するためには、筋肉の燃焼力も必要なのです。
 その効果的な方法が、手足の「グーパー運動」です。
お風呂の中で手を結んで開いてを50回くらします。ついでに足の指の開閉も50回くらいします。
 これだけでも、かなりの筋力アップとなり燃焼力が高まります。

 さらに、私が提唱している方法で、「汗腺トレーニング」(方法は別の項で説明してあります)も非常に有効です。
 実は、基礎代謝の低下の原因のひとつはダイエットだけでなく、汗腺機能の低下にもあるのです。最近はエアコン漬けのため汗腺が退化している人が多く、代謝で生じた熱をうまく放出できません。体は代謝熱が放出されないと、うつ熱の状態も招きますので、自衛的に自分の体の代謝を抑えて熱を出さないように対応するのです。
 日ごろエアコン漬けで汗腺機能が低下した人がダイエットをするとダイエット臭が出やすいのはこのためです。
 汗腺トレーニングは、汗腺機能を高めるだけでなく、代謝を改善しますので、ダイエット臭だけでなく「冷え」や「夏ばて」の予防にも効果があります。
 

 さらに、ダイエット臭を防ぐ食材もあります。

 まず、TCA回路の回転を維持し燃焼力を高めるクエン酸等の有機酸を多く含む、酢や梅干、かんきつ類を多く摂ること。

 また、昆布やワカメなどの海藻に含まれる「アスパラギン酸」等のアミノ酸もTCA回路の材料になり、代謝を高めます。

 また体の代謝は、体液が酸性の状態で弱まり、弱アルカリ性の状態で活性化しますので、アルカリ食品を主体とします。ダイエットでケトン体が多くなると「ケトーシス」という体が酸性に傾く傾向があり、このことも代謝が低下する原因となりますので、アルカリ食品(過去ログに説明してあります)を積極的に摂ることは、はダイエット臭予防に非常に重要です。

 また、汗腺機能と高め血行をよくする、ショウガやクズも有効です。

 

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