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 あなたが体臭のトラウマから開放されるなら、私にできることで協力します


投稿者名:アツシ

タイトル:隠し続けるということについて


 

 はじめてお便りします。
 長年腋臭体質で悩んでいます。
 毎朝風呂に入り、無香料の制汗剤をつける事によって、通常の生活にはさほどの支障はありません。

 

 しかし、夕方頃になると自分の臭いが気になり出し(実際には臭っていないのかもしれませんが)、仕事に集中できません。その為、仕事後の人とのつきあい事も遠慮がちになってしまいます。

 

 以前、大きな病院の皮膚科に相談を受けにいった時は、「臭いがするのは生きている証拠だから、気にしないで。あなたの場合、制汗剤をつけてれば臭わないんだから、毎日こまめにつけてれば大丈夫。」といわれました。

 

 たしかに、もともときれい好きな性格なので、今の生活を続けていれば日常生活に支障をきたすことは少ないかも知れません。しかし、このことは私にとって重大な宣告をされたことと同じです。つまり、私はこれから一生、脇の下の臭いを気にし、どんなに疲れていても毎朝風呂に入り、恥ずかしい思いをしながら薬局で制汗剤を購入し、腋臭でない人達に引け目を感じながら、窮屈な生活をしなければならないということです。腋臭体質はなおっていないのです。

 

 私は今体臭を隠しながら生きていく事に疲れています。手術をして、臭いがとれるものであるのならそうしたいのですが、良きアドバイスを お願い致します。

 

 尚、私は「自分でできる腋臭チェック」の全ての項目にあてはまります。

 

投稿者名:五味院長

タイトル:悩みの本質について


 

アツシさん

 

あなたの質問にはどのように答えてよいか正直なところ迷いました。

そこで今回はわたしがあなたの「悩み」を整理しますので、その後もう一度
よく考えてから再度質問していただけますか?

 

あなたは条件から推察すれは明らかに「腋臭体質」です。

しかし、通常は制汗剤等により腋臭は抑えられ日常生活に支障はありません。
ところが、実際にはあなたは仕事に集中できなかったり、人とのつきあいも制限されたり、生きていくのに疲れています。

 

その理由は、あなたが「腋臭がする」ということではなくて、あなたが「腋臭体質である」ということだからです。

つまり今のあなたの悩みは「ニオイがでる悩み」というより「ニオイを出すかもしれない」という可能性について悩んでいるのです。

 

同時にあなたは本来ならば「ニオイを出している」のに制汗剤によってその事実を「隠している」という行為の後ろめたさにも悩んでいるのです。

 

このような悩み方は今までの多くの他の掲示板の訪問者の「悩み」とは明らかに違いがあります。

 

結論の回答はあなたの再質問の後で言おうと思いましたが、今お答えしましょう。

 

いや、やっぱり、止めます。

 

是非、返答をお待ちしています。

 

投稿者名:アツシ

タイトル:Re: 悩みの本質について


 

 お返事ありがとうございます。
 自分なりに考えてもう一度相談致します。

 

 まず、「日常生活にさほど支障はない」と書きましたが、厳密には臭いが出ないわけではないのです。その日の汗のかき具合によっては(特に夏)夜になって臭ってくることがあります。また、出なかったとしてもそれは一日しか効果がないのです。仕事柄(広告業)徹夜で編集所にこもりきりということがよくあるのですが、そういう時の徹夜明けはほぼ臭います。

 

 次に、なぜ私が生きていく事が疲れる程必死になって腋臭体質であることを「隠す」のかということを説明させてください。
 腋臭が発症した小学生の時に私は友人にそのことを打ち明けました。すると友人は汚いものを見るように「お前それって腋臭だよ、くっせー!」といってクラス中に広めてしまいました。それ以来私には臭い、汚いという(小学生にはよくあることですが)悪口が浴びせられるようになりました。ひどい時にはクラスメートの1人が脇に制汗剤をふきつける真似をしてクラス全員で笑うという事もありました。私は今でも当時の事が深いトラウマとなっています。

 

 私は気にしすぎているのでしょうか。でも、制汗剤をつけていない時の自分の脇の臭いをかぐと悲しくなってしまいます。私の悩みはやはり他の相談者とは違うのでしょうか。

 

 お手数をかけて申し訳ありませんが、アドバイスをお願いします。
 

 

投稿者名:五味院長

タイトル:おわびいたします


 

アツシさん

 

わたしは、今あなたに対して申し訳ない気持ちでいっぱいです。
記載の情報に限りがある点を差し引いてもカウンセラーとしては失格です。

 

わたしは確かに、あなたの相談が今までの多くの相談者とは異るのではないかと思いました。でも今、あなたの心に残る幼いころの体験の話を知ってわたしの判断は全く間違っていることに気づきました。

 

わたしがあのような質問をしたのは、あなたの求めていることが「体質」という生まれながらの特性を変えることであり、その体質を「隠す」こと自体に後ろめたさを感じて悩んでいるのではないかと想像したからです。

 

あの段階でのわたしの用意した回答(しなくてよかったです)は、次のようなものでした。

『あなたには手術はお勧めできません。なぜなら、手術で腋臭が完全に解消したとしても、あなたには「手術」で腋臭を「治した」という後ろめたさが残るからです。その場合、あなたにとって「制汗剤」が「手術」に置き換わっただけだからです』

 

わたしは、誤解をしていました。
でもひとつだけ言わしてください。
あなたのトラウマは、そのような体験のないわたしたちには想像もできないすさまじいものだったでしょう。
でもわたし達が(少なくともわたしは)、今あなたの2通の手紙を通じて感ずることは、あなたは今までの社会生活の過程で、「ホリスティック」な意味ですが、既にトラウマを克服しているように思えるのです。

 

たぶんあなたのがんばりからは、周囲のだれもが広告業で徹夜でがんばっているあなたがそのようなトラウマから生活に疲れているとは思いもつかないでしょう。

 

でもわたしは今本当のあなたの心を知ってしまいました。
トラウマを抱えながら必死で生きてきたあなた。
だからこそ、わたしはそのようなアツシさんが好きです。
そのようなアツシさんはすばらしいと思います。

多分あなたは、今まで誰にもこのようなトラウマの体験を告白したことはなかったのではないでしょうか。
大変な決心があったことでしょう。

 

でも今あなたは、そのような心の深遠にあった感情を明らかににしました。
この時点で、もうあなたの「悩み」はあなただけのものではありません。
あなただけに特殊なものでもありません。
あなたはみんなと同じように「体臭そのもの」でも悩んでいるのです。
そのようなあなたなら、わたしは他の人と同じように次のような回答を用意しましょう。

それは、あなたが体臭から開放されることで今までの過去の記憶を一掃し、今まで以上にすばらしいあなたになれるなら、わたしのできることであなたに協力したいということです。

 

その「わたしのできること」とは「あなたの腋臭を完全に取り去る」わたしの外科的技術です。

あなたにとってその技術が本当に必要か否かは、あなた次第です。
腋臭が完全になくなることの意味はあなたしか知りません。
ですから、この回答があなたにとって最善の選択かはわかりません。

でもあなたにとって「制汗剤」以外にもうひとつの選択が増えたのです。その意味は大きいと思います。

 

急ぐ必要はありません。じっくりと考えてください。
そして制汗剤以外の選択をしたときは、ぜひわたしに相談をしてください。責任をもって対応したいと思います。

 

次には、生きることに疲れるアツシさんでなく、元気に生きてゆくアツシさんの書き込みを期待しています。

 

投稿者名:アツシ

タイトル:ありがとうございます


 

 お返事ありがとうございます。
先生のメッセージを読み、涙が出る程感動し、勇気づけられました。御指摘があったように私は今まで親にすら過去のことを打ち明けたことがありませんでした(心配をかけたくないので)。思いきって相談して本当に良かったと思います。

 

 今後の選択肢としてやはり手術を希望します。それにあたっての診察、インフォームドコンセント等の手順、および料金の事などを詳しくお聞かせ願いたいです。

 

 宜しくお願い致します。

 

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