五味クリニック 新聞・雑誌掲載情報

 

石垣 2002年10月号
五味常明のその臭い、気になりますか? 3


口臭の原因と対策
 より抜粋

Q 在宅で介護している85歳の義父の口臭がとても気になります。口臭を少なくする口腔ケアの方法を教えてください。(53歳・主婦・大阪府在住)




口がにおうのはあたりまえ


人間は生きるために食べたり飲んだりする。口はそれらの入り口である。入り口であるだけでなく、肺が吐き出す息や痰、胃のゲップなどの出口でもある。南船北馬の波止場のように朝から晩まで出入りでにぎわう場所ゆえ、口がにおうのはあたりまえなのだ。
しかし、高齢者の場合、口のニオイが強くなるのには原因があることが多い。
まず、唾液の減少である。もともと唾液には殺菌作用があり、口腔の雑菌の繁殖を抑えて口臭を防いでいる天然の消臭剤なのである。ところが、高齢者の場合には、老化による生理的な唾液の分泌低下の上に唾液の分泌を抑制する抗コリン作用のあるさまざまな薬剤を服用していることが多く、さらに分泌が少なくなりやすい。唾液の減少は口臭だけでなく、味覚や嚥下(えんか)とも関係する。

口臭は健康のバロメーター
だ液を分泌させる最も簡単な方法は「おしゃべり」することである。口を動かせば動かすほど唾液の分泌は盛んになる。だから、食事はモクモクとお行儀よく食べるのではなく、楽しくにぎやかにすることである。高齢者の場合、沈黙は「金」ではなく「禁」なのだ。
口をほぐすリハビリもよい。まず、口の体操。食事の前に頬をふくらませたり、へこませたりする。次に、舌を出したり引っ込める。さらに、舌を出して上下の唇につける。この動作をそれぞれ10回ほどする。そして「パ」「タ」「カ」「ラ」を繰り返して発音してもらう。これらは唾液の分泌を促進するだけでなく、嚥下体操にもなり、誤嚥を予防するのである。
脳梗塞を既往の人は、嚥下力が低下して食べかすが口に残りやすく口臭を強くする原因となるので、食後の歯磨きやうがいなどの口腔ケアが大切である。食べ物の残滓は、割り箸の先にガーゼを巻いたものが取りやすいが、専用のスポンジブラシも市販されている。同時に、入れ歯を支えるアクリル樹脂には、においの原因となる歯垢がつきやすいので、入れ歯の洗浄も大切である。
口腔ケアをきちんとしているのに急に口臭が強くなる場合には、何か病気が原因となることもある。虫歯や歯周病以外で「腐った肉のようなにおい」がする時は気管支炎や肺の疾患、「卵の腐敗したようなにおい」の時は胃腸病、「甘酸っぱいにおい」の時は腎不全や尿毒症の可能性がある。口臭は健康のバロメーターとなることもあるので注意が必要である。

@舌を出して上下の口につける体操。嚥下力がつく。
A頬をふくらませたり、へこませたりする体操。
B朝一番に「梅醤番茶」を。梅干しを潰して、醤油をひとたらしし、熱い番茶を注いで飲む。食欲と口臭に効果あり。



 


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