五味クリニック 新聞・雑誌掲載情報
石垣 2002年2月号
五味常明の その臭い、気になりますか
(1)「オヤジ臭さ」の原因と対策 Q 40歳を超えて、主人の体臭が急に強くなりました。 何かの病気なのでは?(38歳・主婦・神奈川在住) A 臭いの原因は活性酸素 「老化」で増加する 私のクリニックでは、「部下の女性が咳き込むのは自分の体臭のせいではないか」とか、家に遊びに来た孫娘に、「おじいちゃん、臭い!」といわれてショックを受け、鬱(うつ)状態になってしまった人など、中高年の男性の体の匂いに関する相談をよく受ける。 実際に、男性の場合には、四十歳くらいから、「オヤジのニオイ」と揶揄(やゆ)される加齢臭が発生することがある。細菌、このニオイの正体はノネナールというアルデヒドであることが突き止められた。ノネナールは、体の皮脂腺でパルミトオレイン酸という脂肪酸が過酸化脂質により分解されて生じる。この過酸化脂質は、体の中に活性酸素が大量に発生したときに増加するのである。加齢臭の強い人とそうでない人の差は、この活性酸素の量の差なのである。 では、活性酸素はどのようなときに増加するのか。ずばり「老化」である。何のことはない、加齢臭の強い人は年齢より体が老化しているのだ。 「加齢臭」を防止する三つのポイント 加齢臭の予防には、活性酸素の増加を抑えることである。 その第一は、ストレスをためないこと。ストレスこそ活性酸素発生の最も大きな原因。会議や営業成績でいつもイライラしている中高年のサラリーマンがオジサン臭いのも宜なるかな。 次には、活性酸素を非活性化する物質を十分摂取すること。そのような物質の代表が、ビタミンCとE。この両者は互いの劣化を防ぎ合うので、一緒に摂取するする「EC連合」が効果的。さらに活性酸素によってダメージを受けた細胞を再生する抗酸化物質を多くとることも加齢臭の予防になる。それらの物質には、緑茶に含まれるカテキンや、赤ワインのポリフェノールなどがある。 また、オヤジ臭の本質は、「イメージ臭」でもある。若い女性から臭いといわれたなら、それは駅のホームに平気でたんを吐いたり、食後つまようじでシーハーしたり、時代遅れのギャグで場をしらけさせるその言動がオヤジ臭い。つまり、嗅覚だけでなく、「目」にも「耳」にもクサイと敬遠されていることを忘れてはならないだろう。 しかし、過剰な無臭志向もまた問題である。人間の体臭は、生きている限り漂う「生活臭」でもある。加齢臭はその人の生きてきた証。自分の体臭を排除しようとすることは、これまでの自己の歴史を否定することでもある。他人に迷惑をかけない「匂いのエチケット」は必要であるが、お互いの体臭を共有し合うという大らかな人間関係も大切であろう。 相談者の方は、ご主人の体に変調があれば医師に診せ、問題がなければ上記のような対策をとってみたらいかがか。もちろん、夫婦関係にヒビが入らないよう、夫を十分気遣った上でのことだが。
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