五味クリニック 新聞・雑誌掲載情報

 

GPnet2005年10月号

介護現場のにおい対策
安全で安価、しかも手軽にできる食品を使ったにおい消し
 より抜粋


○身体のにおいを消す入浴時の工夫
身体から出るにおいの元になるのは、主に汗や垢である。それらを取るにはやはり入浴が一番効果がある。入浴の際にできる工夫を挙げてみよう。

1.身体を洗うとき
垢は汗や皮脂、ほこりなどが混ざり合って皮膚の表面に付着したものである。あまり知られていないが、垢には新しい皮膚を守る役割があり、適度に残っていないとそこに細菌が付き、においの原因となってしまう。におい防止のためにと、ゴシゴシこすって垢を全部とってしまうのは逆効果になるので注意が必要である。
高齢者は新陳代謝が遅く、表面を保護して水分を保つ皮脂の分泌が鈍っているため、皮膚が乾燥しやすい。普通の石鹸では皮脂を必要以上に取り除いてしまうので、石鹸の選択に配慮したい。乾燥しがちな皮膚には、石鹸の代わりに米ぬかを布袋に入れ、体をこするとよい。
米ぬかに含まれる脂肪が汚れを溶かして取り除きやすくするが、皮膚に刺激を与えず、皮脂を取りすぎることもない。その他、石鹸の代わりに使えるものとしては、汚れを吸う片栗粉などのデンプンや小麦粉などがある。
黒ずんだ汚れや頑固な垢には、オリーブオイルをガーゼなどに染み込ませて軽くマッサージすると効果的である。垢や汚れは油性成分に溶け込むので、拭き取るだけで簡単に取り除くことができる。オイルを少し温め、5〜10分程度おいてから拭き取ればさらに取れやすくなる。

2.湯船に浸かるとき
入浴は、においを元から断ち切るだけでなく、汗を自然に流すのに効果的な方法でもある。汗は汗腺という皮脂腺から分泌されるが、歳をとるにしたがってその働きは徐々に衰える。汗腺の働きが鈍ると、べたべたとした、少しの汗でも臭いのきつい「悪い汗」をかきやすくなってしまう。夏場でもできるだけ湯船に浸かり、汗腺の働きを促して、さらっとした濃度の薄い「よい汗」をかけるようにしたい。
以下に、汗腺などにたまった汚れや油分を浮き出させ、直接的ににおいのもとを取り去ることができる、体臭予防に効果的な入浴方法を紹介する(表1)。

(1)塩風呂
入浴はぬるめの湯にゆっくり浸かる方が身体によいが、皮膚の角質がふやけて汗の出る穴が閉じてしまい、汗が出にくくなることがある。そのようなときには、塩を大さじ1杯加えてみよう。皮膚のふやけを予防し、血行をよくするので身体がとても温まる。ただし、いつもよりも汗をかくので湯冷めしないように注意する必要がある。

(2)酢風呂
汗臭さ、ワキガ臭などの体臭には、酢を湯に入れた酢風呂がよい。鼻にツンとくる体臭は、汗臭さに強烈なアンモニア臭が加わって生じる。アンモニア臭は、血行が悪かったり食事バランスが崩れたりしたときに、体内のアンモニア量が増えることで発生する。
酢には、アンモニアの乳酸生成を抑える働きをするクエン酸が含まれており、これが毛穴から吸収されることで、アンモニア臭を抑えることができる。また、クエン酸の殺菌作用で肌が弱酸性に保たれ、雑菌の繁殖が抑えられるため、きついにおいが発生しなくなる。
酢風呂には、180gの湯に対し酢を100ミリリットル、入浴直前に入れる。酢は醸造酒や黒酢など、台所にあるものでよい。ほんの少量なので酢独特のすっぱいにおいはせず、むしろ爽やかな香りがする。身体に酢のにおいが付くのが気になるようなら、湯船から出て最後に軽くシャワーを浴びればにおいは取れる。

(3)マコモ(真菰)風呂
マコモというのは川や沼などに群生するイネ科の植物のこで、最近では野菜として売られている。
茎に寄生する黒穂菌が体臭の元になる老廃物や垢を食べてくれる。黒穂菌は熱湯のなかでも死ぬことはないので、皮をそのまま湯船に入れてもよいし、黒穂菌を粉末にした商品を利用してもよい。 ただ、マコモを入れると湯が黒くなるので、それが気になる高齢者には向かない。洗面器にマコモを入れて清拭に使う方法もあるので、高齢者の好みや状態によって使い分けるとよいだろう。また、マコモはお湯に溶かして飲むと新陳代謝が高まり、健康増進の一助になるので、風呂上がりに飲むのもよい。
入浴後の水分補給には、シイタケを煮詰めて塩を一つまみ入れた「シイタケ汁」やハチミツなどで甘味を加えた「ショウガ湯」を飲用するとよい。どちらも身体を温め血行を改善し、「よい汗」を出す。よい汗はさらっとして肌の上ですぐ乾くので、体温調節機能がある。トロミをつけても効果に変わりはないので、嚥下障害のある高齢者にもおすすめできる。


表1 体臭予防に効果的な入浴素材
素材効果使用方法注意点
・皮膚のふやけを予防し、血行をよくする
・身体が温まるので汗をかきやすくなる
湯船に塩大さじ1杯程度入れる湯冷めしないようにすること
・汗臭さ、ワキガ臭などの体臭予防180リットル湯に対して酢100ミリリットルを入浴直前に入れる酢のにおいが気になる人は、湯船から出たらシャワーを浴びてにおいを取る
マコモ・体臭の元になる老廃物や垢の除去
・飲用すれば新陳代謝が高まる
皮または粉末状のマコモを湯船に入れる湯が黒くなるのを好まない人には向かない



 


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